EF8181の流し撮り
年齢のせいか時間がたつのが早いように感じる。ついこの間、年が明けたと思ったら1月ももう終わり。振り返ると何かとあったし、北海道にも動物を撮りにでかけたのだから、そう考えれば現実に一か月が経過しているのだと納得できるが、それにしても若い頃に比べれば時の移ろいというものが早いように迫るのも事実だ。
1月27日、模型の蒸気機関車をキットから製作していただいている大阪の工房に電話した。「もけい工房ぽっぽ」という名の高坂雅信さんという名人が請け負ってくださるところ。この前に組んでもらってから5~6年ほど間が空き一昨年、久しぶりにキットをお預けしていたが、そろそろ完成の時期を迎え金の工面をしなければいけないと思ったからだ。ところが電話に出た奥様が「主人は今朝、亡くなった」という。自分の年齢も年齢だから周囲には亡くなった人も頻出し訃報も増えたが、連絡をしたちょうどその日に亡くなったという事例に直面したのは初めてで、とにかく仰天して半日ほど何事も手が付かなかった。
これまで20年以上に渡って高坂さんには蒸気機関車や気動車を特定番号機に仕立ててもらい、まさしく「家宝」というべき作品に仕上げていただいている。特にそのセンスはただ完成させればそれで一丁上がりではなく、ご本人が蒸気機関車をよく見てきた経験から微に入り細に入り特徴をつかんで仕立てたもので、ただただディテールアップしただけの無味乾燥なものではなく、お願いしたこちらの方が「こんなところにまで手を加えてくれた」と恐縮してしまうほどの技量。しかも製作期間は毎回約束通りだし(だいたい半年。この手の工房では異例と言えるほど早い)、工賃もキット代をふくめ天賞堂の金属製蒸機と同等あるいは安価なのだから、ありがたいというより言葉はなかった。キットを組み立てることもできない自分でも「高坂さんにお願いすれば…」といくつものキットを購入したのは同氏の存在があったからこそ。一昨年、電話でお話しした時はちょっと体調を崩したとおっしゃっていて、今回は工期を1年半ほどにしたいと言われてはいたがよもやの結果になってしまったのは残念極まりない。
この4日間、作っていただいた作品を眺めつつご本人を偲んでいる。
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今後、列車撮影に没頭することもなさそうな現況だが、一つやり残していることに気づいた。お召し列車牽引をしたことがあるEF8181が国鉄当時の塗装に戻され早10年近くなるものの、流し撮りをしていない。
「北斗星」を牽いて車体側面に流れ星をまとっていた時代には、こんなイベントものでやっているが、ローズピンクとでも言う色に戻されてから撮っていないのはちょっと心残り。そろそろ「カシオペア」の去就が気にされる時代、機関車の将来も同様で、本線を走る機会が減ることを当然想定しなければならない。
たぶん撮ったとしても満足感は薄いだろうし、自分に義務を課すような撮影行を潔しとしたくはないにせよ、例えば検査期限などがファンの間で噂になり始めてからでは、どうせEF65501やDD51842あたりと並んでますます注目度が高まり撮影地では厄介事が増えるのだから、少しでも穏やかなうちに残った「宿題」は片付けておくのが賢明。自分が流し撮りのホームグラウンドとしている高崎線の岡部付近を順光下で走る機会はないだろうか。
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