白糸川橋梁「銀河」
もうすぐ年金を受給出来る年齢となり、あと5年ほどは働けるのだが、もう雇用を延長しないできっぱり辞めてしまおうと考えている。この先、安い賃金に固執して週に数日だけ仕事をしても、いつ何どき病気になったり足腰が衰えて好きな写真撮影ができなくなる可能性だってあるのだから、まだ元気で冬の北海道に行くメンタリティが残っているうちに仕事から離れるのはクレバーな判断だと感じるからだ。
この判断に間違いはあるまい。
56歳の現役で亡くなった父のことを思えば自分自身、定年まで働けたのだし残りの人生、食うことには困らずほどほどには好きなことがやれる余裕もあるのだから、それを謳歌できる時間をストレスを伴って稼ぐ安い賃金と引き換えにするのは愚かな決断だ。また、人生100年時代とは言え、このところ谷村新司や八代亜紀などをみると70歳台の前半で亡くなっている例も多く、いつ自分がそういう事態になるかと考えれば良いタイミングでもあるだろう。
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根府川というところは個人的にあまりお気に入りの撮影地ではなかった。ただ定番の場所でもあり、ここで諸々の列車を絵葉書的に撮っておくことは当時の鉄道ファンとしては義務的な意味を感じていたから何度か行っている。
最も気に入らなかったのは上り列車を撮る場合、編成に被る架線柱。定石どおりのアングルだと画面のほぼ中央に太い柱が位置して非常に目障り。これが嫌で嫌であまり訪れることはなかったが、それでも午前の早い時間帯に上ってくる列車に当たる朝日は非常に良かったのは間違いない。上り下りの列車とも海側から浴びる光は列車を引き立て、ろくでもない列車でも美しく撮れるという利点は確たるものだった。午後の山側から下り列車に当たる光が平々凡々で、バックに海が入ると言ってもほとんど行く気になれなかったことに対し、仲間のお誘いがあれば必ず同道させた頂いたのは朝の光線の美しさによるものだ。以前の記事にも書いたが、この橋の下を通った先日の湯河原旅行で懐かしさもこみ上げたのは、やはり自分と同じ世代のファンにとってここは忘れられない場所の一つであるだろう。
1980年2月25日の「銀河」
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